2016年 09月 24日
9月句会~西に入る久しぶりのお日さまに思わず歓喜(C日記③ 58日め) |
おきまりの土曜の午前中。朝ドラまとめ放送は、ちいさなしあわせを紡ぐように、やさしく家庭を守って生きた、木村多江さんのやってるお母さんが、最後にそのやさしいオーラをいっぱいに広げ、家族を包み、ささやかなしあわせのシールドをそこに張るように、家族一人一人との時間をいとおしみ、孫と接したり、今日は気分が良いのと料理をしたり、子どもたちに思い出をそっと話したり、お見舞いにきた花山編集長に、娘たちがほんとうにありがとうございました、と感謝の想いを伝えたりしていた。悲しいけれど、静かなとてもすてきなお別れだった。木村多江さん、やさしくて、ほんとうにすてきなお母さんだった。亡くなった後には、今度は姪のたまきが、あなたの暮らし出版に入社する。世代交代しながら来週はいよいよ最終週。その後はBS で再放送が始まるのにちなみ、「ごちそうさん」の同窓会をやっていて見る。思い出の料理を食べながら、当時の印象に残ってることを話していた。よい現場だったのが窺えた。食べることと生きることがテーマ。これも大すきだった朝ドラだ。
ゆっくり支度して、午後は9月の句会へ。今日は男性のSさんがお休みで、代わりのように何ヵ月ぶりかで、先生より高齢かもしれない、やわらかな色に染めたウェーブのかかった髪と、色の入ったサングラスのようなメガネが特徴の、ふくよかなやさしい奥さまのような雰囲気のMさんが来られていた。この方もまた、他のひととは違ったすてきな句を作られる。少ない人数の会だが、個性の強いシニカルさのようなものを、みんな少なからず持っているように感じているが、この方はやわらかくてあまり感じない。
お天気がわるいね。こんなに続くの覚えがないくらいだね。この雨つづきで水が田んぼからひかず、稲がなかなか刈れずにいるところが多い。中には腐りはじめてるところもあるとか。大変だね、なんて話が挨拶がわりだった。わたしたちは披講が始まる前に、選句するのは3句と決まっていて、それが毎回“○山△子選”とか言って読み上げられるが、先生は上限なしで選出される。今日は久しぶりに先生は提出句は1つ残らず採られた。そして後に続く先生の解説や合評も、ちょっと先生が手直しされることはあったが、概ねくだけた季節の思い出や世間話のような感じに終始した。
今日は6人で23句が提出されたが、選句のために回覧され全句を読んで、一番の印象は読み方や意味のわからない言葉が、まだほんとうに多いということ。母の世代よりやや年上と思われる、リーダー格のお仲間、わたしの中で別名は、ミス・マープルだが、木曽の生まれでわりに山の中に育っている。自然に句にも使われる、実感をつくる血肉になってる言葉が、平地育ちとは異なるところもある(今日の句の中に出てきた、かちわたる、という言葉もそう)。世代により共有する感覚の違いもある。そういうことを感じるのも毎回の面白さの1つ。今日はミスマープルが、正岡子規の亡くなった日を言うらしい、獺祭(だっさい)忌の由来、獺(カワウソ)がものをありったけ広げておくような性質を持つことと、自分が母親からむかし言われたことの記憶が繋がったようで、しみじみ言ってらしたのが印象的だった。「あんたは、カワウソのような子だね」、とよく言われたのだとか(片つけられないで、みんな出しっぱなしで、あたりいっぱい散らかしがちに、暮らすわたしにも身に迫る話だ)。わたしたちはカワウソのそんな性質は、獺祭忌の由来を通して知るが、親の時代は違ったんだわね。山ん中の普通のおばさんにも、当たり前のことだったんだ、と改めて気づかされて意外だったというわけ。面白いな、と思って聞いていた。当たり前の感覚というのは、異なる世代に共有されないまま、パラレルに流れていくこともあり、こんな風に後になり理解されることもある。俳句は発掘みたいなとこもあって面白いと思う。今のポケモンGO を、わたしはまだかろうじて理解できている気がするが、わたしの少し上の世代は違うだろう。うまく言えないが、そんなようなこと。
わたし一人わかったような気がしてるだけ、頭が整理できず、おそらくこんな書き方では、伝わらないだろう。ごめんなさい。代わりと言っては何ですが、今日も仲間の句に、大勢が採った当たり句が幾つもあり、とてもステキでした。また、世の中の人の中には、そういうものにまで目を留め、楽しみにしている人がいるという事柄を、今日わたしは1つ新しく知りました。またその話でだいぶ盛り上がったので、それを教えてくれた句も。仲間の句から4句を紹介します。
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―男性 Kさんの句―
身に入(し)むや はじめちびりと ひやおろし
―残り3句すべて、女性 Sさんの句―
傷ひとつなき秋蝶の骸かな
名月の庭へ子猫を出してやる
(コロナ) 観測所に日の射る朝燕去ぬ
※日本酒のひやおろしは、この辺りでは毎年、重陽の節句の頃が解禁。呑んべえさんは、近くの蔵元に自転車に乗り、いそいそと買いに行くのが毎年の楽しみだとか。
※※コロナ観測所は乗鞍にある施設。朝日が射すと、その位置がわかるのだそうです。遠目にまんまの形が見えるのではなく、遠く山の方に、何かそこに確かにあるのが、他とは違う視覚的な特徴があり、わかる時があるというのです。そういうものを見る人がいるのが面白いなぁ。燕岳の山小屋の燕山荘(えんざんそう)。美ヶ原の王ヶ頭ホテル。これらも同じような存在だと、別の人たちが言っていました。首都圏のあちこちから時にだけ見える、富士山みたいなもんでしょうか。
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晴れると思った土曜日でしたが、結局は晴れてくれず、夕方にはだめ押しのように少し降ったりもしました。もおっ!! 、と外出中の車を出るところで、つい文句を言いたくなりました。家に着いて車を降りると、ちょうど西の山の方に日が沈んでいく時でしたが、雲にほとんど隠れるようではあるものの、日が射してるのに気がつきました。思わず道のよく見えるところまで出て、しばらく眺めていてしまいました。お日さまがこんなに嬉しいと感じたのは初めてかもしれない。
だらだら長くなり、自己満足ばかりの日記になりました。ほんとうにご勘弁を。今日のところはこのあたりで。読んでくれたひとにはほんとうにありがとう。新しい日がまた、みなさまにもわたしにも、それぞれに明るい日になりますように
今月の兼題:すすき、女郎花、秋の草花
遠く聴く なつかしき声 運動会
庭先で へびに出くわす 白露かな
火葬場(やきば)から 帰る道々 彼岸花
最速で 秋にゆくよな 雨のふる
by 828summer
| 2016-09-24 18:02
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